ゼロから始める創業術 Vol.56|需要と供給の3つの見極め方

ゼロから始める創業術 Vol.56|失敗しない市場リサーチ|需要と供給の3つの見極め方

こんにちは、税理士の林です。
実は先週、創業相談に来られた方がこう言われたんです。「自分が好きなことで起業したいんですが、本当に売れるのか不安で…」と。この気持ち、本当によく分かります。

100社以上の創業をサポートしてきて感じるのは、情熱だけでは事業は成功しないということ。もちろん情熱は大切なんですが、それと同じくらい重要なのが「市場に需要があるか」「競合はどれくらいいるか」という冷静な分析なんですよね。

今回は、創業前に絶対に確認しておきたい「需要と供給」のリサーチ方法を、実際の失敗例と成功例を交えながらお伝えします。この記事を読めば、あなたのビジネスアイデアが「本当に勝負できる市場なのか」が見えてくるはずです。


■ そもそも「需要」って何?数字で見る3つの確認方法

需要というのは、簡単に言えば「お金を払ってでも欲しいと思っている人がどれくらいいるか」ということです。でも、「きっとニーズはあるはず」という希望的観測だけで進めてしまうと、後で痛い目に遭うんですよね。

1. オンラインでの検索ボリュームを調べる

まず最初にやってほしいのが、Googleトレンドやキーワードプランナーでの検索数チェックです。実際に私がサポートした福岡のヨガ教室A社の例をご紹介しますね。

A社の経営者は「マタニティヨガ 福岡」というキーワードで月間検索数を調べたところ、約390回の検索があることが分かりました。さらに「産後ヨガ 福岡」も合わせると月間600回以上。これは「月に600人以上が福岡でマタニティ・産後ヨガを探している」という需要の証拠なんです。

この数字を見て「思ったより少ない」と感じるか「これだけいれば十分」と感じるかは、あなたのビジネスの目標規模によります。月商30万円を目指すなら、このくらいの検索数でも十分勝負できる数字だと思いませんか?

2. ターゲット層の人口分布を確認する

次に重要なのが、あなたのターゲットとなる人が実際にどれくらい住んでいるかです。総務省の統計局や地域のオープンデータを使えば無料で調べられます。

天神でシニア向けスマホ教室を始めたB社の場合、福岡市中央区の65歳以上人口が約2.8万人いることを確認しました。さらに「スマホを持っているが使いこなせていない」と回答した人が調査では約65%。つまり、潜在顧客は約1.8万人いる計算になるんですよね。

この数字を見て、B社は「月10名の新規生徒獲得」という現実的な目標を立てることができました。人口1.8万人のうち月10名なら、0.05%の獲得率で達成できる計算です。

3. SNSや口コミサイトで「生の声」を拾う

数字だけでは見えない「本当の悩み」を知るには、SNSやレビューサイトが宝の山なんです。

博多でペットシッター業を始めたC社は、Twitterで「福岡 ペット 預ける」などのキーワードを検索しました。すると「急な出張で預け先がない」「ペットホテルは高すぎる」「自宅で世話してほしい」といった切実な声が山ほど見つかったんです。

この情報から、C社は「自宅訪問型・1回3,000円」というサービス設計をして、開業3か月で月間45件の依頼を獲得しました。リアルな声を拾ったからこそ、ニーズに刺さるサービスを作れたんですよね。

ここに注意:「自分の周りの友人が欲しがっている」だけでは需要の証明にはなりません。必ず数百人規模のデータや声を集めて判断しましょう。身近な10人の意見は、市場全体の0.001%にも満たないことを忘れずに。


■ 「供給」の見極め方|競合分析の3ステップ

需要があることが分かったら、次は「すでにそこに何社いるのか」を調べます。正直に申し上げると、需要があっても競合だらけだと、価格競争に巻き込まれて疲弊するだけなんですよね。

ステップ1:Googleマップで競合の数を数える

一番簡単なのが、Googleマップで「業種名 + 地域名」で検索することです。例えば「美容室 福岡市中央区」で検索すると、地図上に競合がずらっと表示されます。

大名で美容室を開業しようとしていたD社は、半径500m圏内に27店舗もの美容室があることを発見しました。1店舗あたり平均15席として、合計で400席以上が既に存在している計算です。この時点で「普通の美容室では厳しい」と判断できるんです。

ステップ2:競合の価格帯とサービス内容を調べる

次に、競合のホームページやホットペッパービューティーなどで価格とサービスをチェックします。ここで「まだ誰もやっていないこと」を見つけるのがポイントなんですよね。

先ほどのD社は、27店舗を全部調べた結果、「完全個室・マンツーマン対応」をしているのは2店舗だけと分かりました。そこで「プライベートサロン・完全予約制」というコンセプトで開業し、客単価を平均8,000円から12,000円に設定。競合が多い中でも、開業半年で月商180万円を達成したんです。

ステップ3:実際に競合店に足を運ぶ

これが一番重要なんですが、面倒くさがってやらない人が多いんですよね。でも、実際に顧客として競合を体験すると、ネットでは分からない弱みが見えてきます。

薬院でカフェを開業したE社の経営者は、周辺の競合カフェ8店舗すべてに実際に行きました。そこで気づいたのが「どの店もWi-Fiが遅い」「電源が少ない」「長時間作業しにくい雰囲気」という共通の弱点でした。

そこでE社は「高速Wi-Fi完備・全席電源あり・作業歓迎」というコンセプトで開業。フリーランスやリモートワーカーから支持され、平日の昼間でも満席が続く人気店になったんです。客単価は800円と低めですが、滞在時間が長いため1日の売上は安定しています。

よくある失敗:「競合が多い=ダメ」と諦めてしまうこと。競合が多いということは需要がある証拠でもあります。大事なのは「競合が満たしていないニーズ」を見つけることです。


■ 需要と供給のバランスから見る「勝てる市場」の見つけ方

需要と供給を調べたら、次はその組み合わせで「自分が勝負できる市場か」を判断します。理想的なのは以下のようなパターンです。

パターン1:需要が多く、供給が少ない(ブルーオーシャン)

これは最高のパターンなんですが、現実にはほとんど存在しません。もしあったとしても、すぐに競合が参入してきます。それでも、新しい技術やトレンドが生まれたタイミングなら見つかることもあります。

2020年のコロナ禍初期、オンライン講座への需要が急増した時期がまさにそうでした。福岡のF社はいち早く「オンライン料理教室」を始めて、3か月で会員200名を獲得しました。

パターン2:需要は多いが供給も多い(レッドオーシャン)

飲食店や美容室など、多くの業種がこのパターンです。でも諦める必要はありません。ここでは「ニッチな差別化」が鍵になります。

「福岡のラーメン店は多いけど、ヴィーガンラーメン専門店はない」「美容室は多いけど、メンズ専門で30分カットに特化した店はない」といった具合に、大きな市場の中の小さな隙間を狙うんです。

パターン3:需要は少ないが供給はもっと少ない(ニッチ市場)

これは創業者に一番おすすめのパターンです。市場規模は小さいけど、競合がほとんどいないので利益率が高くなります。

例えば、福岡でG社が始めた「相続専門の不動産売却サポート」は、年間の対応件数は約40件と少ないんですが、1件あたりの報酬が平均80万円で、競合も2社しかいません。小さくても確実に利益を出せる市場なんですよね。

大切なのは「自分の目標売上に対して、その市場規模で十分か」を考えることです。年商3,000万円を目指すなら、市場規模が年間1億円あれば30%のシェアを取れば達成できる計算になります。


■ 今日からできる!市場リサーチの実践5ステップ

ここまで読んで「やることが多すぎる…」と思われた方もいるかもしれません。でも、実は1週間もあれば基本的なリサーチは完了します。具体的な手順をお伝えしますね。

  • 1日目:Googleトレンドで検索ボリュームを調べる(30分)
  • 2日目:総務省統計やオープンデータでターゲット人口を確認(1時間)
  • 3日目:SNSで関連キーワードを検索してスクリーンショット保存(1時間)
  • 4〜5日目:Googleマップで競合をリストアップし、HPやSNSをチェック(各2時間)
  • 6〜7日目:実際に競合店を3〜5店舗訪問して体験する(各店1〜2時間)

合計でも10〜15時間程度です。これをやるかやらないかで、開業後の成功確率が大きく変わってくるんですよね。

リサーチ結果をまとめるテンプレート

調べた情報は、次のような表にまとめると分かりやすいです。

  • 月間検索数:○○回
  • ターゲット人口:約○○人
  • 競合数:○○店舗
  • 競合の価格帯:○○円〜○○円
  • 競合が満たしていないニーズ:○○、○○
  • 自社の差別化ポイント:○○

この表を作るだけで、創業計画書の市場分析の部分がほぼ完成します。融資の面談でも説得力が段違いになるんです。


■ まとめ|情熱と冷静な分析の両輪で成功を掴む

「好きなことで起業したい」という情熱は本当に素晴らしいことです。でも、その情熱を現実のビジネスとして成功させるには、「需要と供給」という冷静な視点が絶対に必要なんですよね。

今回ご紹介した方法は、特別な知識やツールがなくても今日から始められるものばかりです。1週間の時間を投資するだけで、数百万円の失敗を防げるかもしれません。

もし「自分一人では判断が難しい」「客観的な意見が欲しい」と感じたら、私たちのような外部の専門家に相談することも選択肢の一つです。100社以上をサポートしてきた経験から、あなたの市場分析をお手伝いできると思います。

あなたの事業アイデアが、しっかりとした市場調査に裏付けられた確信に変わることを願っています。

Fukuoka Startax税理士事務所では、創業前の市場リサーチサポートや事業計画書の作成支援を行っております。こちらからお気軽にご相談ください。

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